備前焼は、「日本六古窯」の中で最も古い焼き物。備前市の伊部地区が代表的な産地で、釉薬を使わず、絵付けもせずに高温で焼くのが特徴です。
2024.03.18備前焼の誕生と歴史
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備前焼のルーツは、古墳時代に遡ります。須恵器(すえき)の製法が変化し、鎌倉時代~桃山時代にかけて、現在のような形に落ち着きました。
堅くて割れにくいため、多くの茶器や茶陶として愛用され、庶民の日用品として大人気に。1982年に国の伝統的工芸品に指定されるなど、現代にも親しまれています。
また、2017年4月には、「きっと恋する六古窯 - 日本生まれ日本育ちのやきものの産地 - 」として日本遺産(Japan Heritage)に認定されています。
備前焼の産地「伊部」
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備前焼の代表的な産地は、岡山県南東部に位置する備前市の伊部地区で、備前焼作家の窯元や陶芸店が集中しています。
伊部地区へのアクセスは、JR岡山駅から赤穂線で約40分、JR伊部駅で下車。
窯元や備前焼に関する施設のほとんどがJR伊部駅から徒歩圏内にあるため、どこでも気軽に行くことができます。
いろいろな工房をめぐり、お気に入りの器探しを楽しんでみてはいかがでしょうか。
備前焼の特徴
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備前焼は、「釉薬(素焼きの陶磁器の表面に塗る薬品)」を一切使用せず、絵付けもしないという究極にシンプルな焼き物。
1200〜1300度の高温で焼き、土の性質や、窯への詰め方、窯の温度の変化、焼成時の灰や炭などによって模様が生み出されます。一つとして同じ色、同じ模様にはならない、手作りの味わい深さが魅力で、使えば使うほどに味わいが増していくのも特徴です。
備前焼の特徴「窯変」
窯変とは、窯の内部で作品に生じた色の変化のことで、備前焼で窯焚きをすると、特有の土色が表れます。これが、備前焼の魅力を引き出す分かれ道。
「窯のどの位置に置くのか」「焼くときの条件をどのようにするのか」によって焼き色や模様が変わってくるのです。
ぜひ、お気に入りの模様を探してみてください。
胡麻
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窯焚きに使う松の割り木が灰になり、これが作品に付着することで、ごまをふりかけたような模様に見えることから「胡麻」と呼ばれます。現代では、わざと胡麻をつけるように、作品にあらかじめ灰をつけて焼くこともあります。白や黄などさまざまな色や模様があります。
桟切
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桟切の言葉の中に使われている「桟」は、窯の壁のこと。壁には灰が溜まりやすく、そこに作品を置くと灰に埋もれていきます。その直接火が当たらない部分が燻されるようになって化学変化を起こし、独特の灰青色~黒褐色に変化します。
緋襷
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鮮やかな赤色(緋色)の襷をかけたような色合いであることから、緋襷といわれます。
この模様の正体は、稲の藁。本来は、窯詰めをする際に、作品同士がくっつかないようにするため藁を巻いていましたが、それが模様として用いられるようになりました。
うす茶色の素地に、赤・茶・朱色などの線が「たすき」のようにかかった模様が、より一層趣を感じさせます。
備前焼まつり
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※毎年10月第3日曜日とその前日の土曜日に開催
備前焼作家の作品が2割引で購入できたり、お買い得品やアウトレット品なども購入できるため、全国から毎年十数万人もの人が訪れる、町を挙げての大イベント。
JR伊部駅周辺の道路が歩行者天国になり、さまざまな種類の備前焼を購入できるだけでなく、炎のまつりや、ろくろ踊り、地元グルメなども楽しめるイベントが盛り沢山です。